2013年7月15日月曜日

日本には江戸期に匹敵する大転換が迫られている

「武田鉄矢・今朝の三枚おろし」の放送日:2013/7/15~

書籍: 日本人の遺伝子

作者: 徳川 恒孝

出版社: PHP研究所


徳川宗家第十八代当主であり、WWF(世界自然保護基金)ジャパン会長も務める著者が日本文明のルーツを探る一冊。

縄文時代一万年の間、自然の恵みの中でゆっくり文化を進化させたことが、日本人の生き方、考え方の根底にある、と著者は記す。

「東京のやるべきことは江戸時代に戻って出来る限り森に満ち、都市の中に縦横に水路の通っている都市をつくること」。

その江戸時代、日本は平成と同じく大自然災害に見舞われた。元禄大地震(一七〇三年)の発生、宝永元年(一七〇四年)に浅間山が噴火し、宝永四年(一七〇七年)にはマグニチュード推定八・四の大地震が起き、さらに富士山が大噴火を起こした。

その後も混乱と衰退が続き、ついに八大将軍・吉宗公は「花の元禄バブル」を捨て、質素・倹約を旨とする新しい日本文明を築き上げた。

平成日本の政治経済、社会文化に、いま江戸期に匹敵するような大転換が迫られているのではないか。

文明の根本を問う意欲作。




2013年7月1日月曜日

射能問題に立ち向かう哲学

「武田鉄矢・今朝の三枚おろし」の放送日:2013/7/1~

書籍: 放射能問題に立ち向かう哲学

作者: 一ノ瀬 正樹

出版社: 筑摩選書


3.11後の放射能問題は依然として暗い影を投げ続ける。

不要な被曝をしてしまった不快と不安、不信などの「不の感覚」が蔓延し、それが復興の妨げにすらなっている。

一方で「正しい」と思われる行為が他方で他者を苦しめる。

「道徳のディレンマ」と呼ぶべきこの不条理を、超克することはできるのか―。

一哲学者が、自問反復しながら徹底して理性で問い詰め、事態の混沌に明るみをもたらそうと格闘した思考の軌跡。